静岡のカット専門店サクラ

平日昼下がりのスターバックス。ウトウトしながら「syunkon日記 スターバックスで普通のコーヒーを頼む人を尊敬する件 山本 ゆり(著)」を読んでいたら、見事に上から下までブランドの同世代の女性2人が隣の席についた。で、いきなり教育無償化について話し始めた。「今さら遅いわよね！ 子供は就職しちゃったし」「どうせタダにしてくれるなら10年前にやって欲しかったわよね」「そしたらもう1人産んでたわよ！」否応なしに聞かされたその声に、思わず心の中でツッコミを入れてしまった。「いやいや、産まないでしょう。 そのお金、洋服代に変わる可能性のほうが高いって！」子供をつくることは、本来、もっと本能的で自然な行為だ。子供を産んだり育てたり、誰だってそれを頭で考えれば不安が先にくる。理屈で意味で損得で考えているうちは、少子化の問題なんて解決されない。その証拠にみんなその一歩手前の結婚さえ足踏みをしている…

人間とチンパンジーの遺伝子は98%が同じだ。同じだが、残り2%の違いが、じつは大きい。目の前にリンゴとバナナとミカンがあれば、人間は感覚では「違う」という意識をつくるが、頭では「同じ」という意識をつくっている。つまり、全部、果物だと。が、チンパンジーにはそれができない。同じ果物という概念はない。発達した感覚の中だけで、違いを認識して生きている。すると、どうなるか？　そう、とてつもなく感覚が鋭くなる。具体的には、見たものを写真で撮影したように画面で細かな違いを記憶しているという。たとえば数字を100個くらいランダムに並べて見せても、どこにどの数字があったのか当てることができてしまうという。アメリカの学者が自分の子供とチンパンジーの子を一緒に育てて成長過程を比較した。人の子は4歳になる頃になると、相手の心を推測して相手の立場においてものを考えるようになるという。でも、チンパンジーにはそれが一生できない。それは意識にある「同じ」という働きが人間だけのものだからだ。ついでにいうと、民主主義のもとは、人と人は「同じ」という意識で成り立っている。平等で同じ権利をもっていると。べつに中国や北朝鮮の人たちがチンパンジーに近いと言いたいわけではないが…

今、社会でうまくやっていきたい。人とうまくやっていきたい。そのためには、他人をわかりたい、わからなければ駄目なんだという人が多いという。「わかる」とは、つまりは、意味を求めること。が、大事なことは、意味を求めることではく、感じることだ。失われつつある人間とっての感じるという感覚を取り戻すためには、自然と触れ合うしかない。座禅でも滝行でも掃除でもいい。いいが、間違ってもハウツー本のようにそこに意味や効果を求めてはいけない。意味を求めることと感じることは違う。そう、ただ、やる。粛々とやる。それだけ。それで自然と同調できるという。つまり、自意識が小さくなり、感じることができるらしい。そう言えばタモリさんが言っていた。「俺のやることに意味なんかあるわけないだろう！」「真剣にやれよ！仕事じゃねぇんだぞ！」と。うーん、妙に、納得してしまう… 他人との距離感は、車の運転に似ている。要は、同じ方向でもぶつからなければいいだけ。行先や目的まで聞く必要はない。危ないと思ったら、ハンドルを少し調整するだけでいい。感覚がものをいうのだ。

追伸

立川談志（落語家）曰く、

「自然と己との間を埋める方法、つまりそれなりの解決を、自己の力でしていた。これを自力という。つまり、人力でしていたということ。文明の力でやるようになったというのを比べた時、文明を使わないでやったほうがいいということに、世間もここのところ気がついた。やっと気がつき、うろたえあわてている現代である」

自分が大きくなってくると、知識の量が増え、1つの現象に対する自分なりの分解が必要になります。そんな時は読書をおすすめします。SAKURA（サクラ）の待合スペースには、いつも単行本が10冊程度おいてあります。ありがたいことに「良い本があるね」「面白い本があるね」とお声をいただきます。タイトルをひかえる方や借りていかれる方、はてはここの本を読みたくてカットに来たという方まで… ひょっとしたら、1000円でカット＋人生の大発見があるかもしれません。くだらない本からまじめな本まで。バランス感覚がウリです！ ぜひ、あなたも手に取ってみて下さい。

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