2018年06月15日

脳が快感を覚える瞬間

脳が快感を覚える瞬間

この病名を一躍有名にしたのは、ビル・クリントンとタイガー・ウッズ。セックス依存症。「モラルの欠如」から「過剰セックス障害」として治療の必要性が認知されたのが2013年。それは社会的・身体的・経済的な損失があるにもかかわらず、強迫的な性衝動が抑えられず、セックスやマスターベーションをすることがやめられない状態のことをいう。人間関係に敏感で傷つきやすい人が陥りやすいという指摘もある。アメリカと違って、日本ではまだ「隠れ患者」が多いとされるのが、このセックス依存症だ。そう言えば、日本ほど性風俗業界が発達している国はない… 依存症は最も患者数の多い病気だ。その対象はセックスだけではない。アルコール・ニコチン・薬物・ギャンブル・ゲーム・恋愛など。対象そのものに共通性はない。ないが、1つだけ重要な共通点がある。そう、ドーパミンだ。それが好きなものだとドーパミンが放出され、脳は快感を覚える。その結果は「海馬」に受け取られ記憶される。依存症の深刻さはこの記憶と深く関係している。たとえば、アルコール依存症の場合。飲酒という刺激を何度も繰り返していくと、1回で得られた快感があまり感じられなくなっていく。結果、より快感を得ようとして、飲酒の量や頻度が増えていく。専門的にはドーパミンの受容体が減少することで起こると考えられている。快楽は、時に理性をも凌駕する。振り回されてはいけない。コントロールすることだ。

この記憶は意識と心とも連動している。ドーパミンを分泌するのは「A10」と呼ばれる神経。このA10神経は、記憶と意識と心の調整役でもある。たとえば、野球の場合。時速150kmのボールがホームベースに到達する時間は、0.45秒。プロのバッターがスイングするのにかかる時間は0.2秒。脳からの命令に体が実際に反応する時間は0.3秒。0.45秒:0.5秒(0.2+0.3)つまり、理論上、時速150kmのボールは打てないということになる。もし、打つとしたら、ピッチャーが投球動作をしている段階からバットを振ることが求められる。これを可能にするのが、記憶だ。そう、イメージトレーニング。スポーツメンタルトレーニング上級指導士の高妻容一氏(東海大学体育学部教授)は、自分で考えて予測・判断し柔軟に対応しながら動ける能力。このイメージ能力を高めるために「実況中継」をしながらの練習を勧めている。視点を変え、見ている側に立つ。本番に強くなるちょっとしたコツだ。第2回WBC決勝戦。韓国戦でサヨナラヒットを打った直後のイチロー選手がこんなことを言っていた。「自分で自分を実況しながら打席に入ったんです… 」と。

テストや仕事の結果が良くても直ぐにお金がもらえるわけではない。それでも誰かのために何かをしてやりたい。世の中の役に立ちたい。ボランティア活動や寄付… 人がそんな気持ちになるのは、金銭などとは違う別の報酬を受け取っているからだ。それはあなたの価値が認められたときに発生する。評価・承認・信用・信頼・尊敬… そして何より興味深いのは、これら社会的報酬も、お金をもらう金銭的報酬も、セックスをする生理的報酬も、同じようにA10神経から快楽を感じる物質ドーパミンが分泌されているということだ。どうやら脳はそれらの報酬すべてを、がんばっている自分へのご褒美と捉えている。「仕事と私、どっちが大事?」この質問、脳に言わせれば、お金で愛情も友情も買えるということだ。そう思えないのは、教育のおかげだ。

それは絵画を観る感覚に似ている。美しいという形容詞にもう1つ形容詞を加えるとしたら、芸術的に… BBC TVドラマ「ナイト・マネジャー」トム・ヒドルストン主演のスパイ・サスペンスに出演している1人の女優がいる。エリザベス・デビッキ。脳が快感を覚える瞬間だ…

追伸

こちらもぜひお読み下さい…





Posted by 小林史人 at 10:00│Comments(0)人生いろいろ
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
脳が快感を覚える瞬間
    コメント(0)